セガールTRPG
草案第一稿
Steven
Frederick Seagal TRPG ver.1.0 2011.03.31
Steven
Frederick Seagal TRPG ver.1.1 2011.04.12
著者:カイゼルちくわ
はじめに
本テーブルトークロールプレイングゲーム(以下TRPG)ルールテキストは、アメリカ合衆国が誇る「絶対無敵」のアクション俳優・スティーヴン・セガール氏をこよなく愛し、またその無敵の雄姿に憧れを抱く人のために設計されたものである。
よって、セガールの何たるかを理解していない方への通読、ならびに本作のプレイはお勧めできない。まず大前提として、セガール映像作品を最低3本(沈黙シリーズなど)は鑑賞し、なおかつその「一切ピンチにならない無敵の男」というスタンスを十分にご理解いただけた方にのみ、本稿を捧げる。
そして本作が目指す最終目的は、TRPGというあらゆるキャラクターや世界観を追体験できる遊戯を通じ、「いかなる世界観の作品においてもセガールは無敵である」という、セガールファンすべてが待ち望む最終回答を得ることである。よって、本作で遊ぶシナリオの世界観は、既存のセガール映画作品の印象から離れたものであっても歓迎される。そのセガールらしからぬ世界でセガールの無敵ぶりを楽しむ、矛盾やギャップに関しても大いに楽しんでいただきたい。
そしてぶっちゃけると、本作はギャグ作品なので、あまり真面目に考えたり抗議していただいたりしても正直困るので、その辺はお察しいただきたい。なお、本稿の著作権は著者カイゼルちくわに帰属するものの、商業的な利用をしない限りは、別に本稿を利用して遊んでいただいたり、改良を進めていただいたりすることにはまったくもって問題はありません。むしろアレだ、やれるもんならやってみろってんだこの野郎!
本作の大まかな流れ
まず本作のTRPGとしての大きな性質として、セッションに以下のパートによる区切りが生じることをご理解いただきたい。
1. TSUISEKI(追跡)パート
2. YUUKAI(誘拐)パート
3. KESSENN(決戦)パート
セガールはすべてにおいて……いや、奥さんや娘とちょっと折り合いが悪い(もちろん作品内での設定の話だが)点以外は無敵である。だが稀代のスターでもあるセガールは、物語の美しさを演出することに関しても忘れない。真に無敵であるセガールにかかれば、どんな事件も開始5分で解決してしまうが、それでは銀幕を見つめる多くのファンに対して失礼である。
よって本作のシナリオにおいては、物語の発端から敵や事件の真相についての情報を集めていく追跡パート、セガール作品において必ず起こるべき「娘が敵に誘拐される」事件をきっかけにセガールが今までやつしていた身分(豪華客船船内のコックなど)を捨てて正体を現す誘拐パート、そして敵ボスを完膚なきまでに叩きのめす決戦パートが用意され、特定のシナリオ条件を満たすことでそれぞれのパートへと順次移行する。
シナリオメイキング
ゲームマスター(以下GM)はシナリオを準備するにあたり、まずは世界観を設定する。なお、セガールTRPGと謳ってはいるが、先述の通り、本作で取り扱う世界観は現代世界以外でもまったく問題がない。ジュブナイルだろうが学園ラブコメだろうがファンタジーだろうが宇宙戦争叙事詩だろうが、果ては魔法少女バトルものであろうとまったく問題はない。既存の他の映画作品を、そのままシナリオに取り込むことも推奨できる。
ただし留意してほしいのは、いかなる世界においてもセガールはセガールであり、セガール的な行為はその世界観と相反したとしても無敵ゆえに正しいということである。たとえ魔法少女世界の物語であったとしても、プレイヤーキャラクター(以下PC)にはセガール的なロールプレイ(チベット仏教に敬意を払う、合気道などをベースとした拳法を使う、銃はコルト・ガバメントを愛用するなど)が推奨され、そしてシナリオパートが「誘拐パート」に達してその終了時に娘が誘拐された瞬間、PCの一人が確実に今までの設定を捨て、スティーヴン・セガールと化す(詳細は後述)ことを念頭に置いていただきたい。
GMは続いて、シナリオの最終ボスの目的を設定する。それは達成されれば世界が破滅するような巨悪、かつ常人では止めようがないスケールのものでなくてはならない(例:核ミサイルによる合衆国政府の脅迫など)。
だが最終ボスは、その計画を人知れず巧妙に進行している。PCたちはその計画について、シナリオ導入部で一端を知り、以降真相を追っていくことでセッションを進行していく。GMは事件の真相について「この事実を知ることでボスの目的が大まかに判明する」というキー情報を設定しておき、それにPCがたどりついた時点で、「追跡パート」を終了する。
追跡パートが終了した時点で、シナリオは「誘拐パート」へ移行する。シナリオ上設定されている(あるいは設定されていなくても可)ヒロインは、この時点で必ず「セガールの娘」となり、最終ボスの組織に誘拐されなくてはならない。この誘拐はいかに無敵のセガールとて防ぐことはできないので、逆にPCはこれをピンチ場面としてうまく演出し、セガールポイント(後述)を稼ぎつつ最終パートへとつなげることができる。
そしてもっとも重要なのが、このパートが終了(娘が完全に誘拐された)した時点で、それまで普通の名前のあるPCとして活躍していたPCの中で、もっともセガールポイント(後述)を高めていた者が、「実は身分を偽って潜入していたスティーヴン・セガールが演じる主役」であったこととなり、以降はセガールとして行動する。この状態となったPC(セガール)はまさに無敵であり、不可能なことなどほとんどない。だがシナリオに既定されたセガールポイントが溜まるまでは、最終ボスを倒すことだけは不可能である。
娘の誘拐が終わったら、「決戦パート」へと移行する。追跡パートでの情報収集、誘拐パートでの演出などから割り出した敵の本拠地や目的を壊滅すべく、無敵のセガールと化したPCとそれを支える仲間たちであるほかのPCが、一斉に敵本拠地へと向かう。
GMはこのシーンに当然待ち受ける大量の敵のデータなどを用意してもいい。また、それらはPCの戦闘能力を数倍凌駕するものであっても構わない(いきなり生身のPCを相手に、数倍の能力値を設定した戦車やロボや魔法生物やレッドドラゴンなどを出しても構わない)。
PCはそれらの敵や卑屈なトラップなどを逆に利用し、セガール演出をもってこれを突破し、セガールポイントを稼いでいく。というよりどんな敵が出ようとも、セガールには傷一つつけられず必ず倒されるので問題はない。ただしセガールではないPCはこの時点で無敵ではないので、無茶をせずセガールを名脇役としてサポートするべきである。無論、あえて死にざまを演出することで物語に花を添えることもできる(後述)。
なお、最終ボスも体力こそ減るものの通常は無敵で、何度でも復活する。最終ボスを倒すには、シナリオに規定された一定値のセガールポイントを用意し、セガールであるPCがその状態で最後の攻撃を叩き込まねばならない。逆に言えばどのような最終ボスであっても、セガールポイントが一定値に到達していれば、セガールのいかなるしょぼい攻撃であっても命中した瞬間十数メートル吹き飛び、用意していた核弾頭やら何やらもろともに爆散する。PCにはセガールポイントの最終目標値は公開されないので、セガールであるPCは情けない攻撃によるフィニッシュにならないよう、ファンのために十分留意すべきである。しょぼい終わり方でもそれはそれで面白いが。
以上の流れのシナリオの骨子が完成したなら、GMは「シナリオ難易度」と「セガールポイント最終目標値」を設定する。
シナリオ難易度は「10」を基準に、少なくするほどシナリオ内の判定難易度が低めに、高くするほどシナリオの判定難易度が高くなる(詳細は判定の項で後述)。メンバーのTRPG習熟度に合わせて調整すべきだが、10のままでも特に問題はない。
セガールポイント最終目標値は、先述の通り最終ボスを倒すために必要なセガールポイントの量であり、このポイントの量はセッション時間の長さを決定する一因となる。2〜3時間のプレイ時間を想定するなら200〜300程度とし、追跡パート、誘拐パート、決戦パートの各パートすべてで想定するイベント数に関しては5つから6つ程度にしておくとよい。なお、これももちろんメンバーのTRPG習熟度、さらにセガールロールプレイの習熟度に大きく左右される要素である。あっさりと終わることもあれば、長引くこともあるだろう。その辺はセガールなのでそういうものと割り切っていただきたい。
キャラクターメイキング
シナリオの準備に続き、セッションを開始する前に全PCのキャラクターメイキングを行う。
PCの能力値は、基本的には以下のように設定される。
武力(直接戦闘で使用) 5
敏捷(瞬発力を表わす) 5
知力(知識などの深さ) 5
魅力(交渉などで使用) 5
体力(0になると退場) 5
この数値に対し、合計2点までのボーナスポイントを好きなところに割り振ってよい(1点ずつ2か所でも、1か所に2点でもよい)。これらの能力値に、2d6の数値を加えたものが判定時の達成値となる。GMは判定が必要と思われる場面に際しては、判定に使用する能力値、ならびに目標値をPCに伝えて判定させること。
なお、各場面の判定の目標値は、GMが「シナリオ難易度」に状況を加味した修正を加えたものを使用する。
また、敵の攻撃などで体力が減少していた場合、その減少している現在値が判定の基準値になる。
そしてプレイヤーは、自分のPCにスティーヴン・セガールと一切関係ない、世界観に沿った名前を設定する。セガールは当初必ずその戦闘力や出自を隠して活動するものであり、最初からセガールがそこにいることを悟られてしまっては、最終ボスにうひゃあセガールにゃ敵わねぇぜスタコラサッサと彼方へと逃げられて事件が迷宮入りしてしまうので、この配慮を忘れてはならない。
クリティカルとファンブル
すべての判定において、PCが2d6で6ゾロを振った場合はその判定をクリティカル成功として必ず成功するものとし、逆に1ゾロが出た場合はファンブルとして自動失敗とする。いずれの場合でもシーンを盛り上げた功績として、その場でセガールポイント獲得判定を行うことができる。PCの演出次第でダイスボーナスを与えることも、GMは考慮すること。
セガールポイント
本作のシナリオの各パートにおいて、PCがよりセガール的なロールプレイ(合掌礼をする、高い車に乗っているチャラい若者を軽蔑する、セガール拳やコルト・ガバメントのほか厨房の調理機器やモップ、放水ホースなどで戦う etc.)を行った場合、GMが「それはセガールだね!」と認めたなら、そのPCにセガールポイント獲得判定を行わせる。
セガールポイント獲得判定においては、1d6を振ってその出た目のセガールポイントを獲得できる。より状況に沿っており、なおかつセガール的な演出であったならば、マスターは裁量でこの判定のダイスを2d6、3d6にしてもよい。
全PCが獲得しているセガールポイントの合計現在値は、先述の最終ボスを倒すための「セガールポイント最終目標値」に関係する。
また、セガールポイントを一定量消費することで、以下のボーナスを得ることができる。
●3点消費:判定のダイスを振り直す
●5点消費:体力が0になった場合、セガールのごとく即座にその場でダメージをまったく負っていない様子で立ち上がる
●10点消費:その場で起きている現象を、PCの都合のよい結果に改変する。具体的な効果や裁量についてはGMに相談する。
(例:追跡が間に合わず離陸してしまった敵の輸送機だったが、実はその格納庫に前もって潜んでいたことにする)
なお、これらのボーナスによる結果などをセガール的に演出することで、セガールポイント獲得判定をGMから許可されることもありうる。
ただし、これらのボーナスをもってしても、最終ボス自身の行動やその目的を阻止することはできない。GMはこれらのボーナスが最終ボスの行動を阻害しそうになった場合、何らかの理屈をつけて多少強引でも最終ボスをその場から離脱させるなどして、活動を続行させること。(例:先の輸送機なら、実はパラシュートで脱出した、実は輸送機自体がダミーだったということにするなど)この際最終ボスの体力がゼロになったと判断したなら、GMはセガールポイント最終目標値を−5することを忘れてはならない(詳細は後述)
また、セガールポイントはこれらのボーナスを利用することで減少してしまうため、最終目標値に到達するまでの道程が遠のいてしまうことにもプレイヤーは留意せねばならない。逆にGMは積極的にPCの体力を0にすることを狙うなどして、PCのセガールポイント集積を妨害していくこと。
誘拐パート終了時の「セガール化」
誘拐パートの終了時、娘が誘拐された時点でセガールポイント所持数がもっとも多かったPCは、「●●というPCを名乗っていたが実はひそかにその正体を隠して潜入していた」などといった状況説明とともに、今までのキャラクター設定をすべて破棄してスティーヴン・セガールとなる。そしてさらわれた娘はもちろん、そのセガールとなったPCの娘ということになる。
たとえ世界観が魔法少女もので、PCがそれまで10代の少女の姿だったとしても、そこで変装を解いて身長190cm台の屈強な武術の達人に変身しなくてはならない。これはセガールとしての義務である。
怒れるセガールと化したPCのデータは、以下の通りとなる。能力値はもはや、無敵ゆえに意味を持たない。
武力 計測不能
敏捷 疾風迅雷
知力 問答無用
魅力 絶対魅了
体力 完全不死
セガールの行う判定は、ダイスを振るまでもなくすべてクリティカル成功として扱う。なぜなら、セガールは無敵の男だからである。
よってセガールはいかなる敵の攻撃を受けようと回避し、いかなる敵が現れようとも撃破し、たとえ周囲一帯を焦土と化す回避不能の攻撃が炸裂しても、冷蔵庫のドアを盾にするなどして無傷で済ませる。
また、セガールが最終ボス以外の敵に攻撃する場合、ダメージを出すまでもなく、たとえ武器が厨房にあった包丁一本であろうと、すべて問題なく粉砕する。それが戦車であろうが巨大要塞であろうが、最終ボスでないならば、娘を誘拐されたセガールを止めることはできない。
また、この無敵状態を活用すれば、言うまでもなくセガールポイントをロールプレイで獲得しやすくなる。また、最終ボスに対しても攻撃が必ずクリティカルで命中し、2倍のダメージを与えられるため(後述の戦闘ルール参照)、セガールポイント最終目標値を下げる面でも(こちらの戦闘ルールで後述)最大貢献することとなる。
なお、セガールが確定した以降はほかのPCはセガールたりえないので、セガールを支える脇役(映画におけるセガールと旧知の現役軍人、電車内で偶然セガールと行動を共にすることになったチンピラ青年など)として以降は行動していく。セガールではないPCは、以降「より名脇役にふさわしい行動」をすることでセガールポイント獲得判定を行うことができる。(例:この戦いが終わったら結婚すると話し出す、せこい奇襲でザコ敵を「へっ、まいったかこん畜生め!」と倒す、単身無理をするセガールを諌めつつも軍の情報操作などで陰ながら助力する、など)
セガール一人ではセガールポイント最終目標値に達成することは難しいため、ほかのPCは決戦パートにおいては周囲のザコ敵との戦闘を行いつつ演出を行ったり、いよいよとなれば命を散らせて幽霊的立場となって天の声でサポートに回る(戦闘ルールで後述)などすることで、シナリオクリアに貢献していくのが基本となる。
戦闘ルールと体力0の扱い
本作での戦闘においては、敵の能力値は固定値とし、PCに対して攻撃が命中するかの判定、ならびに敵の攻撃を回避できるかの判定を行わせる。
敵の固定能力値は、シナリオ難易度の数値を基準とし、ザコ敵なら「シナリオ難易度―2」、中ボス的存在なら「シナリオ難易度そのまま」程度が望ましい。中ボスがあまりにあっさり倒されるようなら、GM裁量でさらに能力値を+1した新たな中ボスを出して「さっきの奴は我々の中でも一番の小物」「よくも俺の弟を殺(や)ってくれたな」的な演出をしていくのもいいだろう。セガールが最終ボスと戦闘している間、ほかのPCはこうしたザコ敵と戦ってシーンを演出するというのが基本となる。
最後の本拠地にいる最終ボスや戦車などなら「シナリオ難易度+10」など、法外な値となる。これによりすべてのPCの攻撃がクリティカルでない限り絶対に命中しない敵なども出現しうるが、セガールとなったPCの前にはそれでも無力なので気にしなくてよい。
なお、攻撃の種類や射程などについては、場面によってGM裁量に任せる程度で、細かく気にする必要はない。セガール拳とコルト・ガバメントの射程は基本無限である。
●行動順
そのシーンにいるPC、ならびに敵は、戦闘開始時にまずは敏捷+2d6(敵の場合は敏捷の固定値)を算出し、その数値の順に行動する。同時行動の場合は敵よりPCを優先し、PC同士の同時行動となった場合はそのPC間で相談して順番を決めるか、あるいはいずれのPCも早く行動したいという場合は、ダイスやジャンケンなどの無作為の方法で行動順を決定する。
それぞれのキャラクターがこの行動順に従って1回ずつ行動したらターンを終了し、次の戦闘ターンへと移行。ふたたび行動順を敏捷+2d6(敏捷固定値)で決定する。これを戦闘が終了するまで繰り返す。
●PCの攻撃
PCが敵に攻撃する場合、武力+2d6で判定値を出し、これが相手の敏捷の固定値以上だった場合、攻撃が命中したことになる。オプションルールを使用しない場合、攻撃に用いたものが何であれダメージは1d6点とし、敵の体力をその数値分減少させる。
なお、攻撃判定がクリティカルだった場合、与えるダメージは2倍となる。この場合、ダイスの結果を出してからその数値を2倍とする。
●敵の攻撃
敵がPCに攻撃してきた場合、狙われたPCは敵の武力の固定値に対し、敏捷+2d6でそれ以上の値を出せば回避できる。攻撃が命中してしまった場合、その敵がザコ敵なら1点、中ボス以上の存在の敵なら1d6点、体力を減少させなくてはならない。
なお、回避判定がファンブルだった場合、受けるダメージは2倍となる。この場合、ダイスの結果を出してからその数値を2倍とする。
●体力が0になった場合
敵の体力がゼロになった場合、その敵は即座に倒される。ただし最終ボスのみは、セガールポイント目標値にPCたちのセガールポイント合計値が達していない場合、体力が0になってもその場でまた体力を全快させて起き上がるが、体力が0になるたびにセガールポイント最終目標値を−5する。これによりセガールでないPCであっても最終ボスの体力を0にすることで、シナリオクリアに大いに貢献できる。
なお、体力の値はマイナスになることはない。マイナスになるようなダメージを受けた場合でも、体力は0より減ることはない。
PCの体力がゼロになった場合は、セガールポイントを消費して立ち上がるか、あるいは現在のシナリオパート次第で、以下のいずれかの状態になる。
・追跡パート、誘拐パートで体力が0になった場合→入院:大怪我を負って戦線を離脱する。その怪我を負ったシナリオパートの間の間は再登場することができない。ただしほかのPCが見舞いに駆けつけることで、シーンに登場することはできるが、病院のベッドから出ることはできない。
また、シナリオ中一度でも入院したPCは、誘拐パート終了時にいかにセガールポイントが高くとも、セガールであったことにはならない。仮に全PCが入院してしまった場合、そのシナリオは自動でクリア失敗となる。
・決戦パートで体力が0になった場合→死亡:敵の凶弾などに倒れ、命を散らす。その後決戦パートの間は、セガールとなったPCやほかのPCのところに天の声としてアドバイスを飛ばすことができるが、基本生き返らない。ほかのPCをうまくサポートするアドバイスやロールプレイ、演出などをこなしたとGMが判断した場合、そのアドバイスなどに従って行動するPCの判定値に、幽霊PCが振る1d6を加えてよい。
なお、この幽霊PCのダイスは、その応援対象となるほかのPCが判定を終え、ダイス目が確定した後に振って加えることができる。さらにその応援ダイスの結果が出たのち、さらにほかの幽霊PCが応援のダイスを追加することも可能である。
最後に 〜シナリオとロールプレイの指針〜
本作におけるシナリオ作成には、セガール作品の映画はもちろんのこと、ほかのアクション映画(『ランボー』『スピード』『トゥルーライズ』などがオススメ)などはもちろん、サスペンスやホラーなどといった別の映画(『羊たちの沈黙』『13日の金曜日』など)なども大いに参考にしていただきたい。あるいはこれらをそのままシナリオの骨子とし、『ホットショット』などのようなパロディー映画のノリを楽しむセッションにするのも大いに推奨できる。マスターがシナリオを用意する負担も減ることだろう。
また、既存のアニメ作品などを題材とし、「あのストーリーや世界観の中にセガールが現れたら」といったifを楽しむなど、GMの裁量でいくらでも不条理ギャグとしての楽しみ方を追求していただけると思われる。より戦闘をスリリングにする追加ルールや、装備やエネミーのデータなども、シナリオギミックとして考えていただければより世界観が広がることだろう。
また、セガールという題材そのものを差し替えても、面白い作品となる可能性も大いにある。たとえばセガールではなく、和田アキ子を主役とした『和田アキ子TRPG 〜勝俣「アッコさんすげぇ! ゴジラもワンパンでぶっ倒した!!」〜』などに置き換えたとしても、多分…………いやさすがに無理はあるかも知れないが、楽しんでいただけるはずである。あるいは王道を目指すなら、『水戸黄門TRPG』や『暴れん坊将軍TRPG』にしても成り立つかも知れない。
その場合は、誘拐パートなどの各パートの名称や、主人公が確定する条件やタイミングなどを、好きに改変していただければ幸いである。(例:和田アキ子TRPGなら、誘拐パートを道頓堀パートに差し替え、そのパートの最後で全員が酒を飲んで泥酔したところでアッコさんがだれかが判明し、ラスボスを道頓堀に叩き込むべく決戦パートに挑む……など)
いずれにせよ、プレイヤー諸兄には自分が主役になることを目指し、これでもかと自己主張をして場を盛り上げたり、あるいはほかのプレイヤーの足を引っ張ることも場合によっては楽しんでいただきたい。どんなに凝ったPCを作ってもセガールになって台無しになる可能性があることをご理解いただき、その辺を割り切ってストーリーをハチャメチャにすることの方に注力いただけると、より楽しんでいただけるはずだ。
なお、本作のルールで「追跡パート」「誘拐パート」などにシティーアドベンチャーを設ける場合は、情報を持つNPCは分散して配置し、その情報のピースを集めると最後の情報が手に入るような形式にすることをオススメする。なぜならPC全員がセガールらしく、NPCをねじ伏せて情報を聞き出してくることが常となるので、情報を一か所に固めてしまうと場合によってはパートが10分程度で終わってしまうこともあり得るからだ。
「この場所にPCが来るとこういった罠やイベントが発生し、突破すると情報が手に入る」などといったギミックを、ダンジョンに罠を仕掛けるような感覚で設置していくとおそらくうまく事が運ぶだろう。万が一、殊勝にもマスタリングに挑むという方がおられるならば、ぜひご留意いただきたい。幸運を祈る! なにしろGMをやるとなれば、あなたの敵となるのは恐ろしいことに、あの無敵のセガールなのだから。
(以上)